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本多延嘉君の死を悼む

破防法裁判闘争を支える会・世話人

去る三月一四日未明、四・ニ八破防法裁判被告本多延嘉君が虐殺された。

法廷闘争が開始されて以米、本多君は一貫して被告団の弁論を指導し、検事、および裁判官に対して、革命家としての衿持を堅持しつつ明晰な論旨を徹底的に展開し、権力の論をあますところなく破しゃくしてきたのである。けだし、本多被告の法廷闘争は革命運動史における輝かしいモニュメントを築きあげてきたといえよう。

しかし、その声をふたたび法廷に聞くあたわざる事態をむかえた。裁判はようやくにして実質審理の局面をむかえようとする段階にあり、本多君を失う損失ははかり知れぬものがあるといわなければならない。「破防法」とのたたかいはいまだその緒についたばかりである。われら一同、痛恨に耐えず。

もとより本多君自身にとっては、覚悟の死であったと観ぜざるをえぬとはいえ、革命家とはいかなる困難の下におかれても、断じて生さてたたかいぬくことなしにその政治責任をはたすことはできない。志のなかばに斃れたることは、革命家としての挫折である事実をまぬがれるものではない。本多君自身にとって「覚悟」と「痛恨」は死の現実の表裏あり、その想いは永遠の消えざる墓碑銘であろう。

四・ニ八破防法裁判闘争は中心的活動家を失ったが、しかし、その屍を越えてたたかいつづけることを、われら一同、本多君の霊前に誓うものである。このたたかいを勝利へむかって展開していく努力をかさねることのみが本多君を弔うわれらのただひと筋の道であることを確信するものである。

                            世話人会一同 
                                
                     『破防法研究』第22号から転載